2019年も残すところあとほんの僅かになりました。皆様如何お過ごしでしょうか。来年も体調には気をつけ、新年を晴れやかに過ごしていきたいものです。

 

さて、2019年度東大男子バレー部の引退ブログもいよいよ結びとなります。この四年間で福田尋晃が感じ考えたことを、素直に書き連ねていきます。

 

さて。何よりもまず御礼の言葉を。部長・副部長、監督、コーチといった大人の方々、先輩、後輩、そして同期には大変お世話になりました。厚く感謝申し上げます。関わってくださった他校の皆さんもありがとうございます。そして、直接伝えるのはとても恥ずかしいので、この場でこっそりと家族にもありがとうを伝えてさせてください。

 

この一年間、主将を務めました。

話上手でもなく自分の声一つでチームをまとめられるタイプでもなかった私は、ちゃんと皆の話を聞いて一緒に語り合う主将でいようと代替わりのとき心の中で誓いました。人と人がすれ違うのはコミュニケーション不足がほとんどだと考えていたからです。下級生でも部にとって素晴らしいことを考えていますし、そういうものを一つずつ丁寧に拾い上げていきたかったのです。「ちゃんと考えているのに、何故上は取り上げてくれないのだろう」と、部に対して絶望してほしくなかったのです。話を聞いてもらうだけでスッキリすることだってありますし、全て気持ちを吐き出すと意外と分かり合えたりするものですし。もちろん、全部の声を拾い上げられたなんて考えてません。学年を超えて意思表示だったり互いを指摘しあったりが増えた一年間だったかなと思います。ただ一つ。惚れた腫れたに始まり色々な与太話を聞くのは決まって部内で最後の方だったことが心残りです。

一番しんどかったのは、春リーグで惨敗と言える結果を残してから双青戦までの一ヶ月半の間でした。チーム全体としても個人としても、どこへ進むべきかは分かっていましたが、どう進んでいいのか全く分からず暗礁に乗り上げていました。不甲斐ない結果にしてしまい、挙句の果てにその後の舵取りも上手くできない自分をとにかく情けなく思い、主将像についてとにかく悩みました。やはり、主将の悩みはチームに伝播するもので、チームがまたぶれ、またそのことで悩み……という悪循環の日々でした。愚痴に染まった自分のバレー日記に嫌気が指す日々でした。そんなとき、ベタで安直ですが、自分のなりたいリーダー像を思い浮かべたら、中一のときお世話になった当時高三の先輩が真っ先に思い浮かびました。その先輩は、真剣に話し合えば必ず誰とだって分かち合えるという信念を持った先輩でした(M君とは違い個人名は出しません)。行き詰まっていた私ですが、部員に時間を作ってもらい一人一人と会話を重ねました。みんなの考えていることが分かり、また私が思っていることを伝えられ、少しずつ自信を取り戻せました。原点というかルーツというか、そういったものに助けられました。

一番嬉しかった瞬間は、七大戦の準優勝です。まさに総力戦の七大戦で結果を残せたことは、チーム全員のお陰であり主将として感慨深かったです。準優勝が決まったとき同期と交わした握手は何十年たって忘れられそうにありません。10年間の学生バレーボールの中であまり試合で結果を残せなかった私の、唯一の誇りです。

 

また、俗にいうメンタルって何だろうとこの一年間考えてみました。結局のところ、メンタルの弱さとは準備不足ではないかなと思います。これ以上ないと言えるくらい練習できたか、常に自分の身体と対話し練習してきたか、様々な状況を予測・想定しながら練習してきたか。コートから目を離せば常日頃から睡眠やご飯をきちんと取れているか、試合前でいえばアップは十分したか。今年のW杯で大躍進を果たし大きな感動を届けてくれたラグビー日本代表の選手たち。勝利後のインタビューでは、次戦に向けてのコメントとして「最高の準備をします。そして試合に臨むだけです。」と口を揃えて言っていました。やっぱりなと思いました。メンタルが弱いとは精神的な弱さではなくて、最高の準備が出来ない・自己管理が出来ない自分の甘さなんだと改めて確信しました。田内コーチもピーキングのことについて口を酸っぱくして言ってくれました。ぜひ受け継いで欲しいと思います。

 

今、男子部を引退したあと女子部のコーチをしています。始めてはや二ヶ月が経ちました。スタッフとしてバレーボールに関わることは初めてで戸惑いの連続です。今までは幸いなことに自分がボールに触れプレーをすることはチームのためになる環境でした。それがプレーヤーというものだと思います。しかし今は、コーチという身分で、ボールに触れプレーすることは百害あって一利なしです。チームの勝利を直接掴めないスタッフの気持ちを初めて知りました。プレーヤーはどうしてもプレーする喜びにかまけて、勝利のためにという意志が薄れがちです。勝ってほしいという想いをどれだけスタッフがプレーヤーに託しているのか。それはプレーヤーが想像する100倍くらいの熱量です。ぜひそれを忘れずにプレーしてほしいなと思います。きっとその方が、何倍も上手くなるだろうし、何倍も勝負強くなれると思います。

 

どこか後輩へ伝えるような言葉が多くなってしまいました。性格なのか、まだ主将が抜けきれていないのか、コーチを今やっているからなのか分かりません。

 

長くなりました。まとめてしまえば、よく語り合い早く寝て勝ちにこだわってバレーしようです。

 

最後に。東大バレー部で過ごした時間はとてもかけがえのないものでした。もう一度、大学一年生に戻ったとしても同じように男子バレー部に入りたいと思いますし、変わらずこの同期と引退したいと思っています。

今度は後輩たちが男子バレー部を創っていく番です。来年も再来年も、またその先も、純粋にバレーを好きな後輩たちが自分たちの良いところを集めて悪いところを補い合って素敵なバレー部を繋いでいってくれることを願い、筆を置きます。

ありがとうございました。

#5 福田 尋晃