初めての方は初めまして。4月から3年生になる三須と申します。今回の投稿は今シーズンへの思い、という題で先に最上級生が投稿した後なので、同内容の下級生の最初の投稿になります。今回は、普段周りには言わない、僕のチームへの考えについて書こうと思います。

 

東大バレーボール部の部員の多くが「練習の時から試合を意識してプレーしろ」という言葉を口にします。この言葉について特に反論はありません。全くその通りだと思います。しかし、この言葉の意味を「試合に近い形式の練習をすればいい」と解釈している人に、僕は真っ向から反対します。

「練習は本番のように」という言葉には続きがあります。それは、「本番は練習のように」という言葉です。本番で力を発揮できる選手は 「本番の盛り上がりや緊張感に強い」というセンスを持つ人も多く、一概に「練習通りのプレーが出来たから」力を発揮できた、というわけではないと思います。ですが、力を発揮できない選手の多くは、練習は練習、試合は試合、と一線を引いているが故に、練習でやっていることとは違うことをやろうとし、結果上手くいかないのではないでしょうか。

僕は初めてこの言葉を目にして以来、練習の紅白戦でも、対外の練習試合でも、公式戦でも、常に「練習していることをするだけ」と考えるようになりました。本番で練習してきたことを「練習のまま」行う、そのために普段の練習では試合で挑戦したいプレーを挑戦する、こういったことが結果として「練習は本番のように」につながり、やがての成功になるのではないか、と考えています。

平昌五輪フィギュアスケート男子で銀メダルを獲得した宇野昌磨選手は五輪について、金メダルを獲得した羽生結弦選手とは対照的に「特別な感じはしない」と口にしていました。彼はどの試合だろうと、常に自分の出来る全力の演技をする、それが順位という結果になって後から付いてくる、という考えを持っていました。彼もまた、広義では「本番は練習のように」演技をしている選手の一人です。

 

チャンスボールをセッターに返す、サーブカットを入れる、スパイクを得意なコースに打つ、サーブをミスせずに入れる、諦めずボールを追う。これらはすべて「本番で練習のように」行えば何の問題もなく出来るプレーでしょう。しかし、現状、僕を含めた多くの東大バレー部の選手は、これらが普段の練習で出来ていません。これでは本番で上手くいかずに苦しむのは当然のことだと思います。

普段の「基本練習」を雑にこなしているか、あるいは普段の練習で求められているレベルが低いから、ラリー練習で基本通りに出来ず、上手くいかない。ラリー練習という試合に近い状態で基本通りに出来ないから、試合でも上手くいかない。これが今の東大バレー部の弱さの原因だと思います。

この文章のはじめに「試合に近い形式の練習をすればいい」と解釈している人に反対します、と書きましたが、ようは僕が言いたいのは、「試合形式で慣れる以前にやることがあるのなら、試合形式の練習をするのはまだ早い」ということです。

(余談ですが、漫画「SLAM DUNK」にて、バスケットボール初心者の主人公「桜木花道」は毎日ドリブル500回、合宿では1週間にシュート2万本を何度も何度も繰り返し繰り返し練習していました。そうして素人の彼は基本を習得していったのです。)

 

 

東京大学男子バレーボール部は春季リーグでの3部昇格を目標としていますが、OB方からは「今のままでは4部で勝てない」と言われています。残り2ヵ月、人で勝てなくなった東大が、果たして練習で勝つことが出来るのか、楽しみにしていてください。

僕も限られた時間の中で、何百回は無理でも、何十回かは動作を繰り返して、基礎技術を身に付け、それを本番に活かせるよう、精進してまいります。

 

御精読ありがとうございました。

#11 三須